"LOST WORLD"
13 - 27. 08. 2011,
三影堂撮影芸術中心(北京) 

主催 : 三影堂撮影芸術中心
助成 : 独立行政法人国際交流基金 , 公益財団法人朝日新聞文化財団

協賛 : キヤノン株式会社
協力 : 株式会社カラーサイエンスラボ
企画 : 栄栄 & 映里
オープニング・イベント:トーク & レクチャー 竹内万里子(写真評論家・京都造形大学准教授)× 高橋ジュンコ

> Work "Lost World" "Reflector" "Untitled"


「LOST WORLD」 展 について

この地域を訪れた時、まるで巨大なエアポケットのような真空地帯だった。都市があらたな土地を呑み込み
拡大する前に行われる儀式のごとく、その土地は無名のエリアとなり一時期放置される。


この目の前で繰り広げられる光景は、私にとって何か既視感が感じられた。かつて幼少時代を、東京近郊
の再開発後の地域で過ごした私にとって、記憶の底に刷り込まれた景色に近いものなのか。記憶の中の光
景が、違う時代・違う国で呼び起こされる。

人々が集まる場所、都市周辺での暮らし、ローカリティの変貌など、国を越えた何か共通の精神性のような
ものはあるのか?それは、様々な都市の姿やその形成される光景の中へ入り込む事で見出せるのか?
そして、その土地から切り離された異邦者ゆえに何かを感じ受け止めた時、得られるものだろうか?

北京という流動的変化を迎えた街に佇みながら、様々な思いが浮かんできた。

作品に登場するのは、北京市郊外の北東部、現在再開発中の広大な造成地域。北京首都国際空港から
7、8kmの距離にあり、北京の都市空間と郊外周辺の農村部との境界に位置するエリアだ。

私はこの地域を巡りながら、ある村と偶然出くわした。昔ながらの四合院造りの家々がまさに取り壊し中で、
まるで爆撃にあったような崩落の光景が広がっていた。私は、この特異な風景の中へ侵入していく。そこで
は僅かに残った住民が暮らしていて、次第に彼等との交流が始まった。刹那的な交感にも拘らず、まるで
化学反応のようにあらたな作品を生み出す事となる。

北京から2,100km離れた東京でも、街の生まれ変わりが起きていた。それは都市周辺部の拡張ではなく、
時代を担ってきた最も中心的な街の更なるバージョンアップである。そこにいる人々は既に街の機能の中
にいて、私はその完璧であるはずのエリアへ、ちょっとした細工を施す事にした。彼等は街へ紛れ拡散して
いく。

二つの都市で見たのは街と人をめぐるドラマだ。このドラマを取り巻く世界では、日々何かが生まれると同時
に何かが失われていく。その輪廻やサイクルを表すキーワードとして、この展覧会および北京での作品タイト
ルを「LOST WORLD」と名付ける事にした。変貌する直前、失われ再生していく世界の姿を留めるために。

2011年 7月  高橋ジュンコ





www.junkotakahashi.com

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